EXHIBITIONS

6月14日(土)〜6月26日(木)
小泉光子展「気モチマーケット」(二面性シリーズ)
Mitsuko Koizumi Exhibition

 Zoneさんで2回目の個展を開かせていただくことになりました。

 前回は個展準備中にガンが発覚。手術2日後には東北大震災が起きました。

 そのショックは自分の病気を遥かに越えたものでした。

 そして自分にできることをしようと手術入院中にも制作し、抗ガン剤入院の前に搬入。

個展中は入院で在廊叶わず、梶山さんには計り知れずお世話になり、見ていただいた皆様から励まされ、どれだけ力をいただいたかしれません。ありがとうございました。

 私はその後抗ガン剤治療を断続的に続けながら生きております。

 

 今回のタイトルは「気モチマーケット」。マーケットという発想は阪急桜井市場にあるZoneさんでこそのものですが、気モチとは私が今制作する上で一番重要に思っていることなのです。

 単純な行為から生まれる私の作品は美術という高みに登るのではなく、現代美術という美術の異次元にむしろ平行移動していき、その存在の根本はモノではなく気モチなのです。作品にこめた私の気モチをならべます。

 

 作品は昨年暮れから取り組んでいる、1つの行為で2つの作品ができるシリーズです。これを私は「二面性」と名付けました。線を引く時、色を塗る時、2つのものを同時に作るには仕組みが必要となります。そこに表れる2つのモノは二面性を表し、その二面性は多面性の一種ではありません。1人の人間の人生をその人間本人の目から見る時と、他者から見る時と、そこには多面性が存在するのではなく二面性だけが存在すると考えます。なぜなら私とあなたが、あなたと私が、当人であり、他者であるからです。

 昔から既製品を使った作品が多い私ですが、今回もすでに存在している物体を物語性を持たせるために用いようと思っています。キャンバス作品にも取り組みます。キャンバスも1つの既製品として物語性を持たせてみたいと取りくんでいます。「気モチマーケット」開店へ向けてきりきり舞いでがんばります。お楽しみに!

 

                                   (小泉光子)

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アーティストトーク
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アートとしてのお店「気モチマーケット」と実際のお店「VERSEAU pop-up shop」
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小泉光子展によせて―ギャラリーがギャラリーであること

気モチマーケット+VERSEAU pop-up shop at Contemporary Art Gallery Zone

 

小泉の展覧会では、しばしば、我々が日常生活で普通に目にする生活用品や工業用品が、その本来の物質性や意味性をはく奪され、変更を加えられ提示されています。今回の展示においても同様、それらの「物質性」、「記号性」、「行為」あるいはその行為の痕跡が、ギャラリー空間という特殊な広がりのなかで異化され、メッセージを、いや「気」を送り続けています。

 

6月14日から、芸術としてのお店(気モチマーケット)と実際のお店(VERSEAU pop-up shop)が同時に同じ場所、桜井市場のコンテンポラリーアートギャラリーZoneに13日間出現いたします。

 

カプロー(Allan Kaprow)が芸術と生活の統合を試みたように、小泉は日常の商業行為を芸術行為として捉え、商業ギャラリー(本来美術作品を販売するのが目的である)にお店(商業ギャラリー)を開店いたします。デュシャン(Marcel Duchamp) が美術館に既製品の便器、「泉」を署名入りで展示したように、小泉はギャラリー(コンテンポラリーアートギャラリーZone)にギャラリー(気モチマーケット)を開店するのです。デュシャンの便器が便器であり、それ以外の何ものでもないように、ギャラリーはギャラリー以外の何ものでもないはずなのですが…。

 

小泉は、ギャラリーと言う特殊な空間においてトートロジカル(同義語反復的)な作品展示によって、商業ギャラリーの在り方や商品としての芸術作品の在り方に疑問を投げかけているのではないでしょうか。

 

はたして、ギャラリーがギャラリーであるということは、どういうことなのでしょうか。ギャラリーという名の空間に収まっている物品、あるいはその「場」で演じられている行為・痕跡、たとえそれが日常よく目にするものであろうと、それが「美術作品」と呼ばれるということは…。そして、そこに付加価値が付され販売されるということは…。美術作品の付加価値とは、等など。(買い手がいればの話です。)

 

この機に私が自問すべき問題であると心得、今後のギャラリーの在り方を考え、真摯に取り組んでいく所存です。

 

コンテンポラリーアートギャラリーZone 中谷徹

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